緊急事態宣言における自粛の効果の検証が必要だ
- 2020.05.19 Tuesday
- 20:03
政府は自粛の効果を検証することもなく延長を決定
政府は新型コロナウイルス感染症対策として緊急事態宣言を発令し、国民は4月8日から5月6日までの期間自粛を余儀なくされた。しかも政府はその間の効果を十分に検証することなく、5月末までの延長を決定した。
政府は人と人との接触を8割減らさないと医療崩壊や感染者の爆発的な増加(オーバーシュート)を招き、社会が大混乱になると、半ば国民を脅してきたが、その根拠となったのが、厚生労働省クラスター対策班の一員である北海道大学の西浦博教授の試算だ。
この試算は、何も対策を取らない場合、国内で重篤者が85万人、死者は42万人にも達するという衝撃的な内容で、色々なところで取り上げられたので知っている人も多いはずだ。
人との接触を「最低7割、できれば8割減」をスローガンに国民に自粛を強制してきたわけだが、その結果は、効果はどうだったのか?これを十分検証することなく政府はズルズルと緊急事態宣言の延長を決定した。
感染状況から逆算した接触率と実際のデータを比較せよ
厚生労働省のホームページによれば、5月19日0:00現在での新型コロナウイルス感染者は16,365人、入院者3,566人(うち重症者213人)、退院者11,884人、死亡者763人となっている。
対策が無ければ42万人が死に、人との接触を8割減らせば1か月で収束すると計算で出したのであれば、自粛期間中、および現在の感染状況、被害状況から逆算してこの間の接触率を計算で出せるはずだ。そしてその数字を実際のデータ、つまり携帯電話会社のデータと比べれば、その計算方法、試算が妥当かどうか判断できるはずだ。
その結果によっては、自粛しなければならないという根拠がなくなる、つまり自粛そのものに意味がないという結論が出ることも十分考えられる。
うやむやに終わらせては絶対にいけない
今回の新型コロナウイルスに関して、当初から過剰な反応、過度な自粛は必要ないと言ってきた人は少なくない。しかしそうした人の中にも、緊急事態宣言が解除されればそれでもう終わりと喜んでいる人がいるようだが、ここをうやむやに終わらせてしまうことは絶対にしてはいけない。
日本人は終われば何でもすぐに水に流してしまいがちだ。十分に反省しないからすぐにまただまされたり、同じ過ちを犯してしまったりしてしまう。
もし仮に緊急事態宣言が間違いであったのであれば、政府にそれをハッキリと認めさせなければいけない。そうでなければ、例えば秋にでもまた感染者が増えればまた何を言い出すか分からないし、感染症とは別の事柄についても、こんな酷いことが平気で繰り返されてしまうだろう。
私たちは断固として政府に緊急事態宣言における自粛の効果の詳細な検証を求めなければならない。