HPVワクチン副作用の追跡調査
- 2014.09.08 Monday
- 13:16
HPVワクチン(いわゆる子宮頸がん予防ワクチン)は、接種後に薬の副作用を思われる被害が全国で相次いだため、現在積極的な接種勧奨が差し控えられています。
厚生労働省によると、ワクチン接種後に、原因不明の痛みや運動障害などの重い副作用の訴えが2009年12月から今年3月末までに計176件報告されていますが、厚生労働省は、このほどHPVワクチンの接種後に体の痛みなどの重い副作用を発症した全患者の追跡調査を行うことを決めたそうです。
副反応は、接種時の痛みからくるものだとして、十分な調査もないままに、早期に通常の接種に戻すというようなことが一時報道され、心配しましたが、より細かい調査が行われることになったことは良かったです。
大臣も会見で話していましたが、どんな薬にも副反応があり、そこから得られるベネフィット(利益、恩恵)がある一方で、薬のために余計に体調を崩したり、病気になったりするリスクが常にあります。ベネフィットがリスクを上回ると考えれば接種する意味はありますが、リスクに比してベネフィットが小さい、或いはそのリスクを受け入れることが難しいと考えるならば接種を実施しない方がいいということになります。
病気が流行して、健康被害が大きい時は、予防接種のリスクが少し高い場合でも、あえて実施しようかということになるかもしれません。また病気がほとんど流行していない一方で、予防接種の副作用による健康被害があるというのであれば、接種をやめようかという話しになるのが自然です。
いずれにしても、国は予防接種を実施するかどうか、社会全体としてどちらが得になるかバランスを考えて判断することになります。もちろん経済的な事情や利害関係も大きく影響するでしょう。
国民は個人としてどちらが得か考える必要があります。厚生労働省のホームページに子宮頸がん予防ワクチンQ&Aにも、
「実際に予防接種を受ける際は、ワクチンの有効性とリスクを十分に理解した上で、受けるかどうかご判断ください。」と書かれています。
ちなみに、このQ&Aには、ワクチンの子宮頸がん予防効果について次のようなことが書かれています。
(問)子宮頸がん予防ワクチンについて、がんを予防する効果は証明されていないと聞きましたが、本当ですか?
(答)子宮頸がんは、数年から数十年にわたって、持続的にヒトパピローマウイルス(HPV)に感染した末に発症するとされています。子宮頸がん予防ワクチンは、新しいワクチンなので、子宮頸がんそのものを予防する効果はまだ証明されていません。しかし、持続的なHPVの感染やがんになる過程の異常(異形成)を予防する効果は確認されており、これらに引き続いて起こる子宮頸がんを予防する効果が期待されています。
「子宮頸がん予防ワクチン」という名前はいくら何でもいいすぎじゃないのかという人も居ます。効果がはっきりしない上に、ワクチン接種後に重い副作用を発症した人が多いとなると、やはり少し慎重にならざるをえないように思います。できるだけ早期にきちんとした調査結果が出されることを期待しています。
厚生労働省 子宮頸がん予防ワクチンQ&A
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/qa_shikyukeigan_vaccine.html
HPVワクチンの有効性・安全性について考える